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沖縄県環境科学センター取材「HACCP義務化のビフォーアフター」【前編】

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taka

衛生管理のプロ集団「沖縄県環境科学センター」に、ハサップログ開発担当者が訪問取材

沖縄の食の安全を守るプロフェッショナルに訪問取材!HACCPガイド2回目の訪問取材は沖縄県浦添市にある「一般財団法人沖縄県環境科学センター」に。松幸産業と同じ沖縄県を舞台に、技術士や博士、土壌汚染調査技術管理者、環境計量士、臭気判定士、食品表示診断士(上級)、臨床検査技師等の資格者が揃い「自然環境の保全・再生を目指す」プロ集団。今回は衛生科学部奈宮正和部長、衛生科学部食品衛生課前田義徳課長、衛生科学部食品衛生課石原彩子技師の3名に、ハサップログ開発担当の末吉健悟がお話を伺いました。
※文中敬称略

沖縄県環境科学センターで働くプロの素顔は

左から奈宮さん、石原さん、前田さん

-奈宮さん、前田さん、石原さん、本日はお忙しい中、ありがとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いします。

奈宮 私は長崎県の出身ですが、琉球大学工学部機械工学科に通っていました。卒業後は沖縄を離れて自動車メーカーに30年間いました。最初の10年間はエンジン開発をずっとやってましたね、ラリーエンジンの開発とかも、後の20年間は国内営業部門で主に販売会社に関わる仕事をやっていました。

55歳で早期退職し、「これから何をしようかな?」と思っていた矢先に沖縄県環境科学センターで募集があって、沖縄で働きたいとの思いと「どうせならこれまでと全く違う分野の仕事を」と、受けてみたところ採用していただきました。

前田 私は新潟県の出身で神奈川大学工学部進学を機に上京して、そのまま東京の洗剤メーカーに就職しました。食品とは全く関係ない精密機器用の洗剤開発などのグループにいました。液晶ディスプレイの洗浄とか、工学系の知識を活かせる職種ではありましたね。大学時に今の妻と出会ったのですが、沖縄県出身で…。沖縄に行き来しているうちに「沖縄、良いな」との想いが募り、24歳で沖縄県環境科学センターにアルバイトのような形で入り、今に至ります。

石原 琉球大学で化学系を専攻していた経緯もあり、食品メーカーに就職しました。そこで設計から出荷までの食品開発業務を10年ほど担当していました。結婚を機に退職しましたが、食品メーカーの企業理念が「琉球料理を世界へ広げる」だったこともあり、その理念に感銘を受けて、その後も、地域貢献できる仕事をしたいとの思いで、沖縄県環境科学センターに就職することになりました。

-なんとなく皆さん、沖縄ならではの魅力に触れて沖縄県環境科学センターに導かれたような気もしますが(笑)。現在はどのような仕事を担当されていますか?

奈宮 衛生科学部長の役職ですが、専門領域の経験が無いので技術的なアドバイスは全く出来ませんよ(笑)。「我々のあるべき姿に向かってメンバーが自ら考え行動し、気持ち良くいい仕事が出来る環境を創る」のが私の仕事でしょうか。

前田 私はアルバイトから始まり20年、現在は衛生科学部食品衛生課の課長として働いています。最初は戸惑いましたね。前職では主に開発を担当していましたが、沖縄県環境科学センターに入ってからは分析が仕事。

開発と分析は似ているようで全く違う感覚でした。新しいものを創り上げる開発に対して、分析は決められた方法で正確なデータを出すことが仕事になります。データに誤りがあれば、お客様にも消費者様にもご迷惑をおかけしてしまいます。

それが徐々にですが、「間違えないための管理方法や検査方法のノウハウを見つける」ことがやりがいになっていきました。何かを見つけ出すという点で、開発に似た部分を感じ取れたのでしょうか。昨年、ISO/IEC17025:2017認証取得試験所になりましたが、それを目指したのも、そのような考えも影響していると思っています。

石原 衛生科学部食品衛生科で、いろいろな法人様の衛生管理に関わるコンサルタント業務や学校給食の衛生検査などを主に行っております。前田さんと一緒に食品会社様を訪問し、現場を確認の上御見積や契約などの営業的な業務も行ったっりしています。

前田 コンサルタントに関しては、担当者1名で対応するケースも多いようですが、うちは2人体制で、お客様の運用定着を第一にきめ細やかなサポートを心がけております。石原さんの「現場の方々の事も考えてのやわらかい雰囲気」は、お客様からもご好評いただいていますよ。

石原 IJFS規格やISO22000、各業界団体HACCP等の認証の取得に向けたコンサルタントに関しては取得するのが目的ではなく、その後の継続的な運用と改善が大切ですから、沖縄県環境科学センターでは、その運用面を重視した内容のサポートをご提案させていただいています。

各種規格の認証、認定やHACCP体制の構築は「取得や構築だけが目的ではなくその後の運用が大事」

当社松幸産業のある島尻郡南風原町から北へ約8km。環境保全、食品、水質、の分析、検査、コンサルなど沖縄県の自然や生活に深く関わっている「沖縄県環境科学センター」。今回は、食品に関する各種検査に携わる衛生科学部のプロの皆様へインタビューを観光…ではなく敢行しました。前編のテーマは「食の安全を追求するプロフェッショナルの素顔」。食品業界での食中毒ニュースが大々的に報じられる昨今、「各種認定は取得が目的ではなく、運用が大事」の言葉は重く響きました。そしてHACCPもしかり。実はHACCP義務化になるまでの経緯を厚生労働省の議事録で確認したこともありますが、「今回のHACCPは取るHACCPではなくやるHACCP」との記述があったことを思い出しました。さて、2021年6月に義務化となったHACCPのビフォーアフターを、プロの皆様はどのように感じ取っているのか、興味は尽きません。(ハサップログ開発担当・末吉健悟)

この記事を書いたライター

taka

taka

佐藤 貴洋(sato takahiro)。1973年横浜市生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退後、イタリア国立ペルージャ外国人大学留学。日刊スポーツ現地イタリア特派員として元日本代表MF中村俊輔のRegginaでの3年間を毎日取材。同時にLivedoorにてイタリア最大スポーツ新聞La Gazeetta dello Sportの翻訳記事を配信。2007年に日本帰国後は日刊スポーツ広島総局記者としてJリーグ、プロ野球、高校スポーツを担当。その後、広告代理店で各種大学・企業の広報誌などを、Webサイト制作会社でWebディレクター、Web広告運用などを経て2022年独立。趣味はフットサル、総合格闘技ジムROOTS。

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