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ハサップログでジャパンキャビアの製造現場を「見える化」 【後編】

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taka

ジャパンキャビア製造現場責任者インタビュー【後編】

サミットで採用されるジャパンキャビアに選ばれたハサップログ…製造現場の声は!?

ハサップログを導入いただいたジャパンキャビア株式会社を訪問し製造現場の「生の声」が聞ける、またとない機会。【前編】ではジャパンキャビア株式会社の会社情報、そして、デジタル化の流れの中で「タイミングよくハサップログの話が来た」と導入への経緯を伺いました。今回の取材対象者である製造部の村田係長から漂う研究者のオーラ。【後編】では村田係長を中心とする製造現場の、HACCP、ハサップログに対する共通認識や手応えなどをお聞きしました。(取材=松幸産業 末吉健悟)

対米HACCPとEU HACCAPを取得し、世界へ誇るジャパンキャビア

 ―ジャパンキャビアでは対米HACCPとEU HACCPを取得されています。

村田係長 そうですね。ジャパンキャビアは対米HACCPとEU HACCPの2つを取得していますので、年に2回査察があります。現場でも新規ITツールへの苦手意識も少なく、ハサップログの導入は比較的スムーズ。HACCPの査察でも一緒に見てもらいながら確認していますので、紙の記録と同じように出来ないと変更審査とか大変になりますから。

対米HACCPとは対米輸出水産食品加工施設認定のことで、水産食品を輸出する際にはHACCP認定施設での加工が義務付けられています。EU HACCPに関しても同じように対EU輸出水産食品の取り扱いに関してHACCP認定が求められますので。

対米HACCPとEU HACCPの主な違いですが、加工施設に関しては大きな違いはありませんが、EU HACCPは養殖場まで適正な管理が必要となりますので、より厳しくはなりますね。

どの箇所を変更したかのなど、情報を明確に提供する必要があります。ハサップログ導入にあたり、まずは私が最初に試しましたが本当にチェックするだけで良く、使いやすいと思いました。

誰もが手軽に簡単に扱えるようなハサップログで現場の衛生管理を

 ―実際にハサップログを導入されてからの製造現場や衛生管理での変化はありましたか? また、ハサップログへのご要望などはありますか?

村田係長 ハサップログの導入でリアルタイムで「情報共有」が出来るようになりました。最初の工程で何が起きたのか、何が原因なのか分からないまま加工が進み、最後で異常が見つかるようなケースでも、ハサップログを使うことで確認が出来ます。

導入にあたり、大枠から説明しながら納得してもらい、「使ってみようよ」と軽い感じでしたが、現場での「見える化」「情報共有」が進んで来た実感はありますね。

もちろんハサップログを使ううちに「このような項目が欲しい」「この設計もあると助かる」など、現場からの要望も浮上します。製造部には6名いますが、それぞれの要望や課題を解消できるようになれば、よりスピーディになります。

現場で対応出来ていない点のアドバイスをいただきながら、現場の誰もが簡単に使えるようなジャパンキャビアならではのハサップログを一緒に作り上げられたら良いですね。 

ジャパンキャビアの歴史

  • 1983年=ロシア(当時ソ連)から宮崎県水産試験場に水産庁経由で研究用ベステル(チョウザメ雑種)を導入
  • 1988年=宮崎県水産試験場が宮崎で育ったチョウザメから初めてキャビアを製造
  • 1991年=宮崎県水産試験場がベステルの人工ふ化に成功(国に続き2例目)
  • 2004年=シロチョウザメの完全養殖に成功。民間でのシロチョウザメ養殖がスタート
  • 2011年=シロチョウザメのふ化技術の確立(年間5万尾の安定した種苗生産体制)
  • 2013年=4月 宮崎キャビア事業協同組合設立。11月 宮崎キャビア1983発売開始
  • 2016年=5月 G7伊勢志摩サミットで「宮崎キャビア 1983」が採用される。 ジャパンキャビア株式会社に組織変更。11月 本社屋兼加工生産工場建設・本店移転
  • 2017年=3月 国産キャビアとして香港に初輸出。4月 日本ギフト大賞最高賞を受賞12月 国産キャビアとして台湾に初輸出
  • 2018年=1月 中国向け輸出水産食品施設認定
  • 2019年=4月 対米HACCP取得。米国への本格輸出開始
  • 2020年=4月 ジャパンキャビア独自の熟成容器が完成
  • 2021年=7月 1983 J.CAVIAR 発売開始
  • 2023年=5月 G7広島サミットで「宮崎キャビア1983」が採用される
  • 5月 EU HACCP取得(厚生労働省 KY23001)

(ジャパンキャビアの「公式サイト」はこちらから)

取材後記

ハサップログの導入レクチャーも兼ねた宮崎市への出張取材…。緊張と不安が交錯する中でジャパンキャビア様を訪問しました。現場を担当される製造部の村田係長は山口県下関市の高校から宮崎大学農学部に進学し、「ブリの黄疸原因菌のワクチン開発」を論文テーマに掲げたとのこと。そして大学院まで進まれて水産関係の研究に没頭され、それが現在の仕事に活かされているそうです。会話の端々から「研究に対する真摯な思い」がヒシヒシと伝わってきました。本当に研究がお好きなんだろうな、と。また、現場で従事されている皆様全員の衛生意識が非常に高かったことも印象深かったですね。品質管理担当の方には村田係長のような研究者肌の方も多く、中には現場をビシビシ指導をすることにストレスを抱えている方もいらっしゃいます。誰かが孤軍奮闘するのではなく、まずはトップが品質管理に対して熱心であること、そしてその熱意が現場の皆様に伝わりながらチーム全体でHACCPに取り組んでいることが大切だなと改めて感じました。そういった意味でもジャパンキャビア様は本当に理想的なチームに映り、ハサップログはこのようなチームを実現するためのサービスとして今後も機能を追求していくべきだと感じました。今回の宮崎出張、ジャパンキャビア様への訪問は大変貴重なものになりました。ありがとうございます。(取材=松幸産業 末吉健悟)

この記事を書いたライター

taka

taka

佐藤 貴洋(sato takahiro)。1973年横浜市生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退後、イタリア国立ペルージャ外国人大学留学。日刊スポーツ現地イタリア特派員として元日本代表MF中村俊輔のRegginaでの3年間を毎日取材。同時にLivedoorにてイタリア最大スポーツ新聞La Gazeetta dello Sportの翻訳記事を配信。2007年に日本帰国後は日刊スポーツ広島総局記者としてJリーグ、プロ野球、高校スポーツを担当。その後、広告代理店で各種大学・企業の広報誌などを、Webサイト制作会社でWebディレクター、Web広告運用などを経て2022年独立。趣味はフットサル、総合格闘技ジムROOTS。

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